助成金や科研費の申請書を書くとき、指定された枠のギリギリまで、びっしりと文字を詰め込んでいませんか?
「正確に伝えたい」「熱意をわかってほしい」という気持ちは痛いほどわかります。
しかし、少し残酷な現実をお伝えしなければなりません。
審査員は、あなたの申請書を最初から最後まで、一言一句丁寧に読んでくれるわけではありません。
今回は、激務の審査員に「おっ、これは面白そうだな」と身を乗り出させるための最強の武器、「図解(通称:ポンチ絵)」作成の鉄則について解説します。デザインのセンスは一切不要です。
1. なぜ「ポンチ絵(図解)」が必須なのか?
審査員の立場になって想像してみてください。
彼らもまた、あなたと同じように日々の研究や講義、会議に追われている多忙な研究者です。
休日の夜、疲れた目をこすりながら、手元にある数十件の申請書をさばかなければなりません。
そこに、「余白のない真っ黒な文字だけの申請書」が現れたらどう感じるでしょうか。
「読むのがしんどい…」と、無意識にネガティブな印象からスタートしてしまいます。
一方で、ページの上部に「現状の課題・解決策・期待される結果」が一目でわかる図解(ポンチ絵)がドーンと配置されていたらどうでしょう。
図を見て「なるほど、こういう全体像ね」と理解してから本文に入るため、専門外の審査員でもスラスラと内容が頭に入ってきます。
図解は、ただの飾りではありません。審査員の「読むストレス」をゼロにするための、最高のおもてなしなのです。
2. センス不要!伝わる図解「3つの鉄則」
「でも、絵心もデザインセンスもないし…」と心配する必要はありません。
美術的な美しさではなく、「論理的なわかりやすさ」を作るための3つのルールを守るだけでOKです。
鉄則①:1つの図には、1つのメッセージだけ
最もありがちな失敗が「自分の研究のすべてを1つの図に詰め込もうとする」ことです。
複雑な実験フロー、分子のメカニズム、社会背景などを全部入れると、迷路のような図になり逆効果です。
「この図で一番言いたいことは何か?」を1つに絞り、それ以外の要素は思い切って削ぎ落としてください。
鉄則②:視線は「左上から右下」へ誘導する
人間の視線は、自然と「左から右」「上から下」へと動きます(Zの法則と呼ばれます)。
図解を作るときも、このルールに逆らってはいけません。
- 左(上): 現状の課題(これまでの限界)
- 中央: あなたの独自のアイデア・解決策
- 右(下): 期待される結果(未来像)
このように要素を配置するだけで、矢印に沿って紙芝居のようにストーリーが伝わります。
鉄則③:使う色は「3色」まで(引き算のルール)
カラフルすぎる図解は、目がチカチカして「どこが重要なのか」がぼやけてしまいます。
基本は「黒・白・グレー」で構成し、どうしても目立たせたい「あなたの独自の強み」の部分だけに、アクセントカラー(赤や青など1色)を使うようにしましょう。
「色は意味を持たせる時だけ使う」のがプロの鉄則です。
3. おすすめの図解作成ツール
図解を作るためのツールは、使い慣れたもので十分ですが、以下の2つが王道です。
- PowerPoint(パワーポイント):
ほとんどの研究者が使い慣れている最強のツールです。図形(四角や矢印)を組み合わせるだけで、十分プロレベルの図が作れます。 - BioRender(バイオレンダー):
医学・生物学系の研究者には必須のWebツールです。美しい細胞やマウス、タンパク質のイラストが最初から用意されており、ドラッグ&ドロップでハイレベルな図解が完成します。
4. まとめ:図解ができたら、いざ申請へ!
申請書における図解(ポンチ絵)は、あなたの研究の「顔」です。
本文を書く前に、まずはPowerPointを開いて「全体像の図解」を作ってみることをおすすめします。図がスッキリまとまれば、その後の文章も驚くほど論理的に書けるようになります。
「よし、いいポンチ絵が描けた!」
そう思ったら、その熱が冷めないうちにGrantyで応募先を探しましょう。
あなたの分かりやすい図解は、きっと多くの財団の審査員を惹きつけるはずです。

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